よく指定管理者制度に参入していない会社や自治体職員から、「指定管理者制度って儲かるの?」って聞かれますが、「会社次第、やり方次第」としか、この答えは言い表せなかったりする制度。
傍から見ると、なんか5年とか長いから、それはまぁ相当儲かってるんでしょと思われているようですが、指定管理者制度に参入している会社がどこも稼いでいるとはいいきれません。
この記事では、そんな指定管理者制度で得する会社と損する会社をまとめていますので、皆さんの会社や団体、はたまた利用している施設の指定管理者がどちらのタイプか見極めてみてはいかがですか。
指定管理者制度で得する会社
圧倒的に得するのは、ザ構成企業
代表団体としての実績はないけど、構成団体の実績はもの凄くあるって会社ありますよね。
こういう会社は、かなり得してます。
実は指定管理者の実績って社会的な信頼があって、JVの声掛けが多くなったり、仕事が入る機会も増えてきます。
代表ではないから、行政との直接的なやり取りも少ないし、信頼低下のリスクも少ない。
こういうタイプの会社は、比較的ビルメンが多いですかね。
構成団体になっておいて、実態は、ほとんど下請にまる投げして、マージンで稼いでる会社も多そうです。
このタイプの会社は、リスクも少ないし、結構美味しい仕事になっていると思いますよ。
ブランド力のある会社
知名度の高い会社は、圧倒的に有利ですね。
誰もが知っているような大企業だったり、そのグループ会社が指定管理者になるケースが全国的に増えています。
スポーツ施設では、その傾向が特に多くて、代表的なところではミズノやコナミ、最近ではアシックス、ゼットも積極的に参入し始めているので、ブランド力が低い地元企業は現状通りで勝つのは非常に難しくなっていますね。
指定管理者制度という公共事業に参入する事で、社会的信用を高めたり、地域貢献活動の一環で企業価値を高めたいと考える企業も増えているのでしょう。
町田市では、コナミとミズノが手を組んで共同事業体になったケースもありますし、大手企業が儲かる仕事として、これからも新しい施設をどんどん取っていくと思いますよ。
専門性のある会社
スポーツインストラクターがいたり、イベントを主催していたり、清掃が得意など、どの会社も何らかの専門企業である事に違いはありません。
ただ、ここでいう専門性というのは、指定管理者になりたい施設にマッチしているか、他社にはないものを持っているかがポイントです。
例えば、スポーツ施設であれば、人材派遣をしている会社がやりたいと手をあげるのと、独自の健康プログラムを持っていたり、元アスリート選手が在籍していたり、赤字施設を黒字に転換させたカリスママネージャーがいる会社がやりたいと言ったらどうですか?
自分が選定委員なら、圧倒的に後者を選びますよね。
これは極端な例ですが、あなたの会社しかない魅力を分かっているのといないのでは、選定結果が大きく変わってくるでしょう。
組織にいると、自社の強みが分かりづらいかもしれませんが、取引先や仲のいい同業者へ聞いてみたりすると、新しい発見が見つけられるかもしれませんよ。
自社の専門性が分かっていれば、その強みと施設の独自性をマッチングした提案、プレゼンを行うことでお金が高くても指定管理者になって得する事も可能になります。
指定管理者制度で損する会社
圧倒的に損するのは、ザ下請会社
指定管理者制度は価格競争ではないとはいえ、未だに経費削減が審査項目で高い割合を占めています。だいたい全体の2割ほどを価格点にする自治体は多いですが、なかには4割ってところもあります。
そんな中、下請を専門にしている会社の場合だと、なかなか増額を指定管理者や元請は認めてくれません。そのため、自社の利益を減らしていく事となり、最終的には仕事を降りる判断をするしかなくなってしまいます。
よっぽどの専門性のある仕事でない限り、指定管理者は同じ価格で請けてくれる会社を見つける事に必死になります。
それを防ぐには、利用者や行政から評価される良い仕事が、指定管理者の評価にも繋がる事を理解して、高品質な仕事を提供し続ける事が必要です。
価格だけを求めてくる会社は、はなから相手にしない事が大切ですよね。
コストカットしかできない会社
残念ながら、指定管理者の中には経費削減だけで選ばれている会社がいるのも事実です。
自社の専門性に自信がないから、価格を下げて点数を稼ぐ。
新規で指定管理者になりたいから指定管理者を削減する。
その結果、価格を下げたから、人にも物にもお金を掛けられない。
更新の時には、今の指定管理料が上限となってしまい、毎年最低賃金が上がっているのに、入ってくるお金は変わらないのに、出ていくお金は増えるばかり。
あと、コストカットだけの会社は、稼ぐ力もない事が多いので、利用料金制でも収入を増やすことができません。
だって、お金を掛けたくない会社ですから、働いている人のモチベーションも低く、ただ何事もないように運営しているだけだったりします。
自社アピールが下手な会社
良い仕事をしていても、ブランディング力がなく指定管理者の更新に失敗してしまう会社もあります。
こういう会社は、常に施設を利用している利用者からは評価されているものの、利用者ではない選定委員に魅力を上手く伝えられず、プレゼン力に優れた会社に負けてしまいます。
こういうケースは、指定管理者変更後に利用者からのクレームが殺到して、行政は5年後にまた指定管理者を変更する事態になることも多いです。
会社もそうですが、施設の魅力を発信する事も大切なことですね。
せっかく良い仕事をしていても、いつか気付いてくれるだろうでは遅すぎます。
指定管理者を選ぶのは、自治体職員と自治体に選ばれた選定委員である事を忘れずに、第三者が客観的にあなたの会社を評価する事ができるように、満足度調査の結果をまとめたり、自社の取り組みを発信し続けてください。
後回しにしてしまう業務ではありますが、自社ブランディングに力を入れて、指定管理者に選ばれない=損する会社にならないようにしましょう。
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